英語圏の開発現場から語る「STEAMのインディーゲームに日本語対応を実現するための誰でもできる応援方法」
今日はわりとシンプルかつ、日本のゲーマーのみなさんが気になる話をしようと思います。
ズバリ、Steamで遊びたいゲームに日本語対応してもらう方法とは!?
自分の遊びたいゲームが日本語に対応していなくて、悔しい気持ちになったことはありませんか?
そんなみなさまに朗報、以下の3つを心掛ければ日本語に対応してくれる可能性は上がります。
遊びたいゲームがあったらウィッシュリスト登録をする
Steamのゲームのページを友達にシェアする
発売済のゲームなら購入する
これだけです。この積み重ねがスタジオや開発者の日本語への意識を変えます。私自身、マーケターとして多くのゲームに関わっていて実際に開発現場にもいますが、現場の感覚としてこれは間違いありません。
発売済みゲームの購入はハードルが高いかもしれませんが、ウィッシュリスト登録だけでも効果があります。
なぜなら、Steamに登録しているスタジオは、ダッシュボードからどこの国からのゲームページへの流入があるか?ウィッシュリストの登録者がどこの国が多いか?等をすべて見ることができるからです。
簡単に言うとゲームページを見にいく=街をウィンドウショッピングしているときに「お、このゲームなんだろう?」って気になってお店を覗いて見ている、もしくは「友達におすすめされた」とか・・・なんだか気になっているという状態です。
そこで実際お店に入って、ウィッシュリストをするということは、「この商品を欲しいと思っているよ!」と店員さんに教えてあげるのと同様です。店員さんはとても喜びます。(購入してくれたらもっとうれしいです!!!)
翻訳言語はどうやって決まるの?
かつて欧米では、とりあえずEFIGS(English, French, Italian, German, Spanish)に訳して、その後はゲームのジャンルやスタイルと市場規模により追加言語を決める。というような時期がありました。
それではここで全世界を国別にゲーム市場の規模2022版を見てみましょう。日本はゲームの市場規模では常にTop5位に入る国です。日本は第3位となっていますが、1プレイヤーがゲームにかける金額は日本がこのランキングでは一番高いのです。(※このデータはモバイルも含んでいることに注意してください)
Steamだけに限って言えばSteam公式データを見ても日本語の使用率は上から8位、ゲームエイジ総研のデータでも、2022年の時点で日本のSteam売上はフランスを超えています。
ではなぜ市場があるのに翻訳されないのか?
それは長らく「日本の人は日本のゲームが好きだろう」「日本市場は独自進化しすぎていてわからない」「翻訳してもマーケティングの仕方がわからない」という欧米からみた日本へのステレオタイプ的な市場への偏見があります。弊社でも「翻訳しませんか?」と小規模パブリッシャーやスタジオに声をかけても「アートスタイルが日本のものと違いすぎて多分誰も遊んでくれないと思う」とか「このRPG、日本のJRPGと違うから・・難しいと思う・・・」と不安げな返事が返ってくることも多いのが事実です。※近年の中堅ー大手のパブリッシャーであれば翻訳費用があるので、初期から自社ユーザーデータベースやトラフィック、ウィッシュリストの上位から8-13言語一気に翻訳することが出来ます。13言語対応なら必ずと言っていいほど日本語は含まれています。
翻訳に対するハードルがあるのか?
ゲームエンジンの進化に伴い多言語対応する仕組みも随時追加され、多言語化対応へのリスクも技術的にはかなり減りました。
なのでスタジオ側からすれば、ゲームの日本語対応に関する費用は翻訳費+LQA費用と、言語を挿入するエンジニアの工数だけなのです。「だけ」と書きましたが、文字数にもよります。大体欧州では英語から日本語への翻訳は1ワード単価=7-13円がよく見る文字単価です。ここでは一番安い7円/単語と仮定して、ダイアログやクエストが多めのアドベンチャーゲーム、3万文字あるゲームであると想定した場合、翻訳費だけで21万円になります。この上にエンジニアのコストがかかってきます。スタジオ側はこの翻訳という投資へのリターンが見える可能性がないと、翻訳への一歩を踏み出すことがなかなかできません。
ウィッシュリストの上位にいれば言語対応される?
これはとてもあり得ます。前述でも書きましたが、ウィッシュリストはプレイヤーさんがお店にきて「このゲーム興味あるよ」と言ってくれたのと同じことなんです。
現在のインディーゲーム界隈では、販売当日から1週間以内にウィッシュリストから購入に至る人は10-19%と言われています。なので低く見積もっても1000ウィッシュリストがあると100人の人が購入してくれるだろうという計算をスタジオ側は行います。もしその収益計算が翻訳費をカバーできる数字であれば、翻訳してもいいだろう!という判断になります。
また、売上はすべてを解決します。
日本からの売上が多ければ、リリース後でも追加で言語対応し、改めてプロモーションしたいと考えるインディー開発者は多いです。
日本に向けてインディーゲームのマーケティングを提供する我々Neon Noroshi社にも、そういった相談はかなり多く寄せられます。
なかなか日本で英語のみのゲームが爆売れするというケースは少ないですし、英語でゲームを遊ぶ人はかなり少ないと思いますが、数百単位でも売れていると、翻訳したらもっと売れる可能性がある市場とみなす場合もあります。
なので、是非みなさん、日本語に対応してほしいインディーゲームがあれば、是非下記で開発スタジオの応援をしてあげてください。
遊びたいゲームがあったらウィッシュリスト登録をする
Steamのゲームのページを友達にシェアする
発売済のゲームなら購入する
そしてゲームをプレイした後はレビューをしてあげることもプラスになります。レビューは詳細に書いてもらえればもらえるほど開発側はとてもうれしいです。
スタジオが例え北極圏にあったとしても「日本からゲームを応援しているよー!」というメッセージは、データで伝わる時代です。是非、暖かい応援を日本からお願いします。(あとインディーゲームタグが付いたゲームの場合はリリース時にちょっとバグがでても頑張ってパッチで修正するので、それも含めて応援してもらえるとありがたいです。)
<北欧こぼれ話>
北欧諸国発のインディーゲームのほとんどの場合は初期から英語でゲームを製作する為、リリース時には自国の母語すらゲーム内にない状態でリリースします。北欧諸国には英語話者も多いですし、市場が国内にないので、まずは自国の言語より市場規模がある国の言語を優先するんですね。
最後になりますが、この記事を書いたNeon Noroshi社は、「欧米から日本、日本から欧米へインディーゲーム」を宣伝するマーケティング会社です。今後も北欧を中心にゲーム文化の面白話、ゲーム開発者の助けになる情報を発信していきますのでX(@NNoroshi)フォローしていただけると嬉しいです!
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