日本はアジア有数の『GEOGUESSR』大国!?eスポーツでも躍進する『GEOGESSR』、ワールドカップ責任者ミカエル氏に今後の展望と日本の現状を聞く

Google Mapのどこかにピンが落とされ、Google Street Viewで見られる写真を頼りにその場所を探すゲーム『GeoGuessr』をご存じだろうか。


知らない人に説明すると、どこか知らない場所の写真を見せられ、その場所を当てるゲームといった感じである。

むちゃぶりにも聞こえるこのゲームだが、実は世界中にファンがいて、競技的な試合も行われている。
今年10月13日と14日はスウェーデンのストックホルムで初のワールドカップが開催され、eスポーツとして成り立つ兆しも見せている。

実は日本でも有名Youtuber、Vtuberにもプレイされ、ワールドカップでは日本人選手が参加枠を勝ち取って活躍し、日本語配信も行われるほど盛り上がりを見せている。

しかし、ワールドカップの盛り上がりに比べて日本語での情報が少ないので、今回は『GeoGessr』の共同創設者であり、ワールドカップ責任者のミカエル・ファルガード氏にワールドカップを開催した経緯と手ごたえ、日本の状況を聞いた。

Neon Noroshi:
ミカエルさんのプロフィールを教えてください。


ミカエル:

私のキャリアは開発者から始まったのですが、『GeoGuessr』ではサポート、開発、そしてここ数年は人事、採用、文化の構築、新しいオフィスの文学的な構築(大工ではなくプロジェクトマネージャーとして)、そしてここ半年は第一回『GeoGuessr』ワールドカップの手配に力を注いでいます。 


Neon Noroshi:

開発者という立場だったのに、そこまで手広い仕事まで能力があったことには驚きです。
次に何度も聞かれたことだと思いますが……『GeoGuessr』の始まりについて教えてください。


ミカエル:
始まりは10年前、アントン(※アントン・ウォーレン。『GeoGuessr』を最初に開発した人)がリリースされたばかりのGoogleストリートビューAPIを使って遊んだことでした。
彼が『GeoGuessr』の初期バージョンを作り、フィードバックを求めてRedditに投稿しました。

それが評判になり、アントンは「自分が何かを掴んでいる」と気づいたのです。
そして学生時代の友人2人を呼んで会社を立ち上げ、数カ月後にさらに2人の友人を連れてきて、一緒に仕事をすることになりました。
私は数か月後の入社組です。

当時、私たちが『GeoGuessr』に取り組んだ理由は2つありました。
友人と一緒に何かに取り組む理由ができて楽しかったから。
同時に、これは本当に大きなものになる可能性があると感じたからです。

そこから私たちは、何人かがフルタイムで働き始める2019年から2020年まで、夜も週末も『GeoGuessr』の開発に取り組んでいました。
現在、従業員数は50人ほど。この2~3年ですべてが本当に早く進みました。


Neon Noroshi:

なぜ、『GeoGuessr』はそれほどまでに成長できたのでしょうか。
開発で気をつけたこと……他の開発者の参考になりそうな秘訣などはありますか?


ミカエル:

『GeoGuessr』が人気になった理由はいくつかあると思います。
1つ、地理は時代を超越したもので、私や私の友人だけでなく、子供や私の両親などにとっても楽しいものです。世代を問わない。
1つ、わかりやすい。どこかに降り立って、自分が世界のどこにいるかを当てる。
1つ、奥深く、同じ場所やゲームはない。降り立つ場所は世界中に文字通り何百万とある。
1つ、世界中のさまざまな場所がどのように見えるかを学ぶだけでなく、演繹的スキル(理由と論理を使って結論を出すこと)の練習にもなる。

『GeoGuessr』を開発する際は、常にエンドユーザーに焦点を当ててきました。
当初、できるだけ良いゲームや製品を作ることを重視して広告の最適化やお金を稼ぐ方法には焦点を当てませんでした。
このことは、私たちが製品や会社を作り上げる際にも生きています。


Neon Noroshi:
そうして人気を得て、成長してワールドカップに至ると。
リリースから10年たってからワールドカップを開催する判断になった経緯が気になります。

ミカエル:
ここ何年も、『GeoGuessr』の競技的な側面が進化しているのを見てきて、中でもフランスのコミュニティが毎週のようにトーナメントを行っていて、とても盛り上がっていたのを見たのがきっかけです。
そして、2VS2とか3VS3の試合はあっても優勝者を決める1VS1の試合がなかったので、オフィシャルイベントとして行おうと考えました。

ワールドカップ開催には『GeoGuessr』で競い合う方法を見つけるという目的もありましたね。


Neon Noroshi:
ワールドカップを終えてみて、結果はいかがでしたか。


ミカエル:

『GeoGuesser』のワールドカップの最終日は、すごい盛り上がりでした。
プロのGeoGuesser同士のハードコアなプレイをみるのはエンタメとして成り立つと、そしてeスポーツなりたつことを確信しましたね。

↑ワールドカップ最終日の動画

Neon Noroshi:
確かに。
落とされた位置と予想した地図上の距離が離れているほどライフが減っていく視覚的演出はわかりやすかったですし、完全に位置を当てた際の驚きも大きかったですね。

ワールドカップ初戦で日本代表選手が見せた逆転劇も、ドラマチックに見えました。
少し横道にそれますが、ミカエルさんが印象に残っているプレイや選手を聞いてみたいです。


ミカエル:

落とされた場所の情報を読み取る方法でユニークだったのは、Googleカメラの性能やGoogleカメラを搭載した車の色なんかを推測する方法でしょうか。
あまり有効な戦略ではないかもしれませんが。

電柱の番号から国を推測して、記憶に頼らずその国の中のどの位置にいるかナンバーから割り出していくという戦術。
色彩などのイメージで(地理を)認識していると、PCの変更でディスプレイの色味がかわって苦労することもあるようでしたね。

Neon Noroshi:
ディスプレイ発色が試合を左右することになるとは。
Googleのカメラ性能から推測するという発想も驚きですね。


ミカエル:

今回ワールドカップの2位、フランスのBlinkyは全世界の言語を認識することで位置を特定することに長けていて、バングラディッシュの街を理解するためにベンガル語を勉強したとか。


Neon Noroshi:
まさにハマるほど学びになるゲームですね。
ワールドカップを終えての印象と、今後の見通しをお聞かせ願えますか。



ミカエル:

1対1のデュエルトーナメントは、とてもうまくいったと思います。
見る側としても、他のeスポーツと違ってわかりやすいし、プロ選手の上手さも把握しやすい。

多くのeスポーツは、ゲーム内容を知らないと盛り上がれないという問題を抱えます。
しかし『GeoGuessr』は、地理は年齢も性別も関係なくわかるし、誰にとっても親しみやすく、幅広い人たちが見て楽しめる要素がある。
なんなら、試合を見て学びがあることもある。

今回の各賞金の合計数は$50,000(約760万円)でしたが、今回のeスポーツとしての成功でスポンサーや賞金が今後増えていく可能性も十分にあると思います。


Neon Noroshi:

来年の大会が楽しみです。
日本でも『GeoGuessr』は盛り上がりを見せつつあるように感じます。
私は有名なYoutuberたちがプレイしている様子を見ていますが、手ごたえは感じていますか?


ミカエル:
日本の盛り上がりはここ直近の6か月前くらいから感じています。
今回のワールドカップにもSiinaという日本人のプレイヤーが参加してくれました。

ワールドカップのファイナルはスウェーデンのストックホルムで金曜日に開催されたのですが、日本とは7時間時差があり、日本では夜遅かったはずの開始時に世界同時視聴者が71,252人にもなり、その中でアジア圏内では唯一日本語圏のストリーマー/視聴者が存在感がありました。

ESports Chartsに書かれたストリーミングが活発だったエリアの箇所に『アジア言語では唯一日本語が存在感を示している。』と書かれている。

ヨーロッパ時間に合わせるとアジア地域では遅い時間になりがちなので、今度は日本の皆さんが見られる時間や説明など、できるかぎりローカライズしていきたいと思っています。


Neon Noroshi:
それは助かります。


ミカエル:

日本のストリーマーさんからプレスキットや配信のリクエスト来ていたので、日本の方々に配信する需要があるんだなと感じています。
X(Twitter)などの投稿が沢山あるのはわかるのですが、全部日本語なので内容があまり分からない。
これを理解できるようになりたいですね。


Neon Noroshi:
日本語の理解は難しい問題だと思いますが、日本の盛り上がりが届いている事は嬉しいです。
ワールドカップの情報も日本でわかりやすく、見やすくなることを期待しています。

最後に、新しいモードの構想や、今後についての見通しを教えていただけないでしょうか。
より競技的なモードが追加されるのでしょうか?


ミカエル:
多くの人にプレイしてもらう方法を見つけることは重要だと思っています。最終的に、それが人々のためになるとも思っているからです。
私たちは『GeoGuessr』の新しい遊び方を模索し続けるでしょう。

例えば、私の両親は競技としての『GeoGuesser』プレイには魅力を感じないようですが、ゲームをカジュアルにプレイすることを高く評価してくれます。


Neon Noroshi:
『GeoGuesser』が人々のためになるゲームだから、広めるために競技に限らず模索し続けると。
展望についてはいかがですか。


ミカエル:

『GeoGuessr』は、子供たちが学校で利用するようになる可能性があるでしょう。
学習ツールとして一緒に遊ぶことも、チャレンジすることもできます。
両親や同僚と社交ツールとして遊んだり、ボードゲームの代わりに友達と遊んだり、ディナーでプロの試合を見たり。

『GeoGuessr』は素晴らしいコミュニティに支えられていて、まだまだ成長すると思います。
今後どれだけ成長するかが楽しみです。

Neon Noroshi:
ありがとうございました。


以上。


いかがだったでしょうか。
日本で『GeoGuessr』が盛り上がってきているし、ワールドカップにでたSiinaさんのプレイ(1日目の日本語実況を見てください!)が素晴らしかったのでたまらなくなり、GeoGuessr社がNeon Noroshiと同じスウェーデンにあったのでアポを取って話を聞いてしまいました。

『GeoGuessr』は以下のサイトで無料でプレイできます。
https://www.geoguessr.com/ja


Shiinaさんの試合は下記でみれます。

ぜひ、一度プレイしてみてください。もちろん、配信者さんが当てているのを見ても面白いので、動画から入ってもOKです!

Neon Noroshi 寺田

Previous
Previous

北欧のインディーゲームPR会社Neon Noroshiスタッフが思う2023年のベストゲーム

Next
Next

「Steam Storeがゲームをピックアップする仕組み」をVALVEが日本語で解説。内容をまとめ、補足してみました。