北欧で腐女子が集まってヴィジュアルノベルを作っていたらパブリッシャーへ進化していた件
世界にはもっとヴィジュアルノベル(VN)が必要だ!
以前、日本の腐女子が北欧のゲームスタジオに就職し、隠れた腐女子仲間を見つけて乙女ゲーム開発スタジオを立ち上げた話を書きました。
で、友情を深めた女子たちはよりディープなゲームを作るため北欧で腐女子を集めて乙女ゲーム開発スタジオを作り、乙女ゲーム虎の穴「Otome Jam」でゲームを開発し、スタジオを立ち上げて『OBSCURA』というゲームを製作。
乙女ゲームの市場調査などを経てアーリーアクセスでリリースして「非常に好評」の評価を獲得して。
もう幸せいっぱいの生活で大満足……
では終わりません。
楽しく話せる仲間が生まれ、乙女ゲームの記事を書いていくとさらに仲間が増え、趣味が燃え上がり……もっとやりたいことができてきます。
「あー、国境を越えてもっと仲間と集まりたい……」
我々はもう「日本大好きだよ、原宿とかキュート!」と言って日本に旅行し、実際には池袋に行っていた頃には戻れないのです。
「自分たちも作っているけど、もっと英語で乙女ゲーム(※)が遊べたらいいのに」(※乙女に限らず女性向け)
「なんだかんだで、英語訳が怪しいゲームが多いんだよね」
「でも、英語のヴィジュアルノベルの日本語翻訳も意味はあっているけど……みたいなもの多いよ」
腐女子が集まればより発酵し、夢が膨らみます。そして、一緒にゲームを作っていた仲間3名でVN専門のパブリッシャーを立ち上げました!
そう、「乙女ゲームのパブリッシャーを立ち上げたいッ!」と心の中で思ったならッ!
その時スデに行動は終わっているんだッ!
設立したパブリッシャーの名前は、Kaguya Project(カグヤプロジェクト)!
パブリッシャー名の由来は竹取物語で「ある日竹取の翁が、竹の中から1寸余りの少女を授かり、かぐや姫と名付け、美しく成長した。 姫は5人の貴公子から求婚されながらも、無理難題をいって断り、時の帝のお召しにも従わず、月の世界に帰っていく。」というどう考えても乙女ゲームな展開の話が1200年も前に爆誕していたのに感謝と尊敬を込めて。
1200年前から存在した逆ハーレム物語の名前を付けることに北欧腐女子メンバーも賛成し、無事設立。
あとは清水玲子先生の「輝夜姫」が個人的に大好きで。ミステリーや妖美さ耽美さといった可愛いだけではないストーリーのVNをパブリッシングしていけたらという気持ちも詰まっています。
Website
https://www.kaguyaproject.com/
現在扱うタイトルは2つ。1つは私も所属しているRotten Raccoonsの『OBSCURA』。これは以前から紹介していますね。
危険なにおいのする仮面の男たちと恋愛する乙女ゲームです(正確には主人公の性別は自由なので遊ぶ人によって変わります)。
2つ目は日本のインディースタジオHyoukanStudioの『Knight Case Files』。こちらは乙女ではなくダークファンタジーのヴィジュアルノベルです。
開発する「氷冠オペラ」は氷冠スタジオの紫江凜(師走幸希)さんとイラストレーターの風凪ひかりさんによるコラボチーム。
凝った世界観と重厚なストーリー、緻密で美麗な乙女ゲームアートスタイルを得意としている少人数のスタジオです。
https://www.hyoukan.com/
出会いはお仕事、Neon Noroshiに「氷冠オペラ」さんから英語のプルーフリーディング(翻訳の最終的な品質チェック)の依頼を通じてでした。
プルーフリーダーのメンバーが仕事を通じて作品のポテンシャルに気づき、
「キャラクターが90年代風(セーラームーンなどをみて育った世代@欧米)でそういう少し年代が上のVNユーザーは興味があるんじゃないか?」
「ミステリーなストーリーの部分もOBSCURAのプレイヤーと被るところがあるのでプルーフリーディングだけじゃなくてマーケティングも手伝えるのでは?」
と言ったのが始まり。
『Knight Case Files』についてお話を伺ったところ、『OBSCURA』のチームと同じで「開発者が少人数で自分たちが好きなものを作ってる」事が感じられ、パブリッシングを決意。
みなさんもご存じの通り、良いノベルでも英語に直しただけでは欧米で売れません。
単純に英語で宣伝する能力もありますが、文化の違いもとても大きい。例えば、日本では18禁とみなされない表現もSteam上では18禁に指定されて露出が制限されることも多いのです。
そういった文化の違いの壁が立ちはだかったとき、自分たちと近いゲームならお手伝いできるのではないかと、Kaguya Projectの第2弾のゲームとして扱わせていただくことになりました。
文化や規制でゲームの露出が制限されたとき、一番重要なのはVNのファン、乙女ゲームのファンコミュニティにリーチできること。
『OBSCURA』はDiscordメンバー2,000人 Twitter7,300Followers。デモも含めたゲーム保有者が15万人以上あり、ちょっと大人なVNの需要が欧米にあることを確認できたし、同じファンにリーチできます。
成功の見込みもあり、相手側のメリットも十分と判断して今回のパブリッシング事業(Neon Noroshiと別に)開始に踏み切ったわけです。
もちろん、勢いだけで作ったわけではありません。
・近年のVNの欧米での普及を肌で感じている
・日本のVNの英語が普通に良くないので(逆もしかりだが)英語のプルーフリーディングをしっかりサポートできる立場になりたいと思った
・VNという日本が強いコンテンツを欧米に出していきたい
・欧米のVNゲームも増えてきてるので日本にも伝えたい
・VNのプレイヤーは必ずしもゲーマーでとは限らないのでマーケティングが結構普通のアクションゲームなどと異なるため専門パブリッシャーの必要性を感じたこと
・国境を超えて腐女子のみんなでいつか集まりたい
などなど、色々な思いや未来予測が詰まっています。
世界に日本の誇る文化を広げていきたいと思いますので、日本の皆様にもぜひ応援していただけると嬉しいです!
今後扱うゲームの募集は今年の夏くらいから始めていく予定にしています。気になる人はXとBlueskyをフォローして下さいね。
Bluesky https://bsky.app/profile/kaguyaproject.bsky.social
X https://x.com/KaguyaProjectVN
さて、まだ私たちの日本向け作品はリリースされていませんが、昨日からSteam Visual Novel Festが開催されています。
是非どんなVNが世界にあるのか是非見てみてください。